サバ缶とボッコちゃん

青魚と短編小説をこよなく愛するコピーライターです。 ブログタイトルは時々変わります。

青空の奥

 

本日は五月晴れの素晴らしいお天気。

もうすぐ夏、その前に梅雨…。

湿気がなくて爽かで、こんなにいい季節は今だけだなぁ。

 

澄み切った空を見ていて時々思い出すのは、ある短編のこと。

ブログタイトルにも入れさせていただいている、

敬愛する星新一先生の超有名短編集「ボッコちゃん(新潮文庫)」収録の、

「お〜い でてこ〜い」というショートショートです。

 

ある日ある村に突然大きな穴が出現。

穴に向かって「お〜い でてこ〜い」と叫んでも反応はないし、

底は見えず、小石を投げ入れても音もせず、

ためしに垂らしてみたロープは縁でちぎれて落ちてしまうし

調査することもできない。

学者や議員やマスコミがよってたかって騒ぐけどそのうち飽きて困り、

村は集会場を建ててもらうのを交換条件に、ある企業に穴を譲ってしまう。

すると企業は、生ゴミから核ゴミまで持ち込まれたゴミを

次々にその穴に捨てて処理して大儲け。

おかげで街はすっかりきれいになり、空もますます澄んでくる。

ところがある晴れた日、空から「お〜い でてこ〜い」という声がして

そのあと小石が一個落ちてきて…というお話。

先を想像してゾッとする大好きな短編です。

 

下に捨てたものが上空から落ちてくる、という設定が

子供心にもシュールで、はじめて読んだ時の衝撃は今もって色褪せず。

天地が折りたたまれる感覚は映画「インセプション」みたい。

地元や役人が途中で投げ出してお金に転ぶところなどは、今思うとリアル…

 

とにかく、ぬける様な青空から一つの小石が落ちてくる、という

ラストシーンが私には遠いトラウマとなって、

青空を見るといつもその奥にかすかな不安を感じるのでした。

(2017年、変なものが落ちてこないといいですねぇ。。) 

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