サバ缶とボッコちゃん

青魚と短編小説をこよなく愛するコピーライターです。 ブログタイトルは時々変わります。

母と娘 〜朝ドラ「ひよっこ」から

 

朝ドラ「ひよっこ」を見ている。

まだ始まって3週間だけど、

これは一種の ’バディもの’ ではないかと思った。

誰と誰の?というと、母と娘の。

www.nhk.or.jp

 

序盤の大事件とその顛末で、

出稼ぎ先の東京で行方不明になった夫を探しに行って

手がかりなく戻った母(木村佳乃)が

心配かけまいとこれまで黙っていた事の次第を

娘のみね子(有村架純)に告白するシーン。

「母さんはここで父さんを待ち続けるよ」。

涙ぐみながらこう言った母にみね子が答えたセリフが

「わかったよ」。

この瞬間に母と娘のスタンスが変化したことが見えてぐっときた。

 

さきの母に対しての答えは、

「うん」。

「そうだね」。

「私も待つよ」。

などいくつか考えられるけど、娘の答えは「わかったよ」。

このセリフはなかなかすごい。

このひと言にこもっているのは、

「わが家の状況はわかった。母さんの気持ちもわかった。

その上で私は私のできることをするよ、そう決めた」という決意表明だ。

これを言ったことで親と子供だった二人の関係は一部対等になり、

女性同士の信頼関係が誕生した、と思った。

 

子供が成長して庇護しされる時期が終わると、

母と娘には新しい関係が始まると思う。

それぞれ「女としてのタイプ」もちがうだろうし、

家族だから一緒にいたけど個人としては気が合わないとか。

だがこれまで母が注いだ愛情はしっかり娘の心の中に残り、

たぶん、生きるための磁石のようなものになっている。

(自分の場合は、悔しいことや理不尽なことがあった時、

「こんな思いをさせるために母は私を生んだのではないだろう」

と思って立ち向かったりします…)

また母は娘を分身のように感じて未来に放つのかも。

何度も励ましあったり口喧嘩をしたりしながら、

たとえ愛憎が入り交じっても、

親娘はかけがえのない同志になっていくのでは。

 

来週からドラマは東京編なので

また全然違う方向に進むのかもしれないが、

みね子の上京で母の木村佳乃はあまり出てこなくなっても

みね子の中にバディとして棲んで冒険を支えるんじゃないかな。

 

なんて勝手に想像しています。