サバ缶とボッコちゃん

青魚と短編小説をこよなく愛するコピーライターです。 ブログタイトルは時々変わります。

911の思い出

 

今日は9月11日です。あれからもう17年か。

 

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2001年のあの日のその時間は、

久米さんの「ニュースステーション」を見ながら

実家の父と電話をしていた。

実家でもニュースステーションがついていて、

私たちは同時に

「あ」

といったのだ。

 

父はその年の5月に脳梗塞をやって、

9月にはもう退院していたが左半身に麻痺が残り、リハビリしていた。 

それまで絶縁に近いくらい仲のよくない親子だったが

倒れてからはできるだけ電話するようにしていた

(母にかけて代わったり代わらなかったり)。

 

テレビは「いまNYのWTCに飛行機が突っ込んだ模様です」

というのを緊急中継でやっていて、

まさにその番組中に2機目がビルに突っ込んだのだった。

それを、父も私も、兵庫東京と離れて受話器を耳に当てつつ

親子の会話よりテレビ画面の方を注視していて、

同時に目撃したのだった。

その時の会話で父が発した言葉は

「これはえらいことになってくるで」だった。

 

簡単に父の紹介をすると、彼は新卒から退職まで

在阪のTV局の社員で、2001年は退職して6年目。

退職時にあった関連会社への誘いを全て断った父に

当時私は「まだ働けるのにもったいない」と言ったりしたが、

若い頃は現場ディレクターだったのが

年をとって管理や関連会社に回ったりして、

もう勤めはいいやとなったのかもしれないと最近は思う。

旅行と絵描き三昧で悠々自適を目論んでまもなくの脳梗塞に、

今思えば2001年あたりはかなり腐っていたと思う。

 

父は一昨年他界したが、

世界はえらいことになってきたというわけだ。

世の中が変わりはじめる象徴的な夜だったな、と、

私はいつも、

受話器を持ったままTVを見て凍りついていた父と自分の姿とともに

911を思い出すのです。

 

(写真は2012年、再建中だったWTC)