サバ缶とボッコちゃん

青魚と短編小説をこよなく愛するコピーライターです。 ブログタイトルは時々変わります。

その時ふたりは花束だった。 2021年1月ベスト「花束みたいな恋をした」

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あれっこれうち?

ゲームや映画や音楽や本などやや狭めの趣味が

シンクロして恋に落ちる…

昔の自分たちのような、よくいる恋人たちの話。

さまざまなシーンに身に覚えがあって甘酸っぱかった。

 

行くはずだった同じライブ、減りかけのジャックパーセル、

次に進めないまま迎える終電、終電逃してひたすら歩く、

三日ベッドから出ない…キュンの連打は言うまでもなく。

趣味や好みがあまりにシンクロする人と出会うと

「この人しかいない!」と有頂天になるのだが、

実は人間は、趣味嗜好だけでできているわけではない。

東京育ちの自宅っ子次女で、両親がマスコミ勤務の絹(有村架純)と

家業を営む父ひとりを故郷に残してきた長男、麦(菅田将暉)。

書き連ねるだけでもこんなに真逆の育ち方をした二人は、

どんなに趣味が似ていても、成長するにつれ

やがて違う色の花を咲かせるようになる。

絹を愛するあまり夢を封印して就職し、

型にはまっていく(ちなみにその時期そうなってるだけで

一生はまったままとは限らないけれど)麦が痛々しかった。

 

絹と麦の性格や人生観の違いや、

リトマス試験紙のように描かれる周囲の人間関係など、

坂本裕二脚本は細やかで今回もさすが。

超大切な映画(牯嶺街少年殺人事件!)や仕事への反応など

「ちがい」を浮き立たせるシーンの数々。

初めてのキスの後の絹のセリフ

「ちなみに私はこういうふれあいは頻繁にしたい方です」にも感心した。

へぇこれを先に言っとくのか~大事だね賢明だなと。

彼女の奔放さ、意志の強さは最初から示されていたなと思った。

 

「花束みたいな恋」のココロは、最初は

「いつか必ず萎れる」という意味かと思ったが、

全く異なる種・生育の花が組まれて美しいのが花束。

そういう意味もあるのかもと想像した。

 

しかし恋がひとつ萎れても人間はそう簡単には枯れないわけで…

まだ「途中の二人」は別の道を行く。

そして、長く添うことになる相手とは

「どんな時期の自分として出会うか」が大きいのだよな、とひとり納得。 

 

…年寄りの感想ですかね。。

 

「花束みたいな恋をした」 監督/土井裕泰 脚本/坂元裕二

 

・・・・・

1月は14本鑑賞。

1986年公開のニューマスター版でルトガーハウアー出演の

ヒッチャー」と迷いましたが、

今年公開作品ということで「花束みたいな〜」に。

ヒッチャーもかっこよくて最高でした。

 

2021 年1月 鑑賞順

*新感染半島 ファイナルステージ

*Swallowスワロウ

アクエリアス

*ニューヨーク親切なロシア料理店

*許された子供たち

*聖なる犯罪者

*本気のしるし

ヒッチャー ニューマスター版

鬼滅の刃 無限列車編

*オアシス リマスター版

*43年目のアイ・ラヴ・ユー

*羅小黒戦記(字幕版)

*花束みたいな恋をした

*天国にちがいない