サバ缶とボッコちゃん

青魚と短編小説をこよなく愛するコピーライターです。 ブログタイトルは時々変わります。

この映画は人がたくさん死にますか?

 

映画館にちょいちょい出没していると、

仕事では出会わない年齢や雰囲気の人々に遭遇します。

だいたい打合せの合間に割引価格で観られる日を狙って出かけるので、

平日の昼間が多いのですが、

この時間帯は、ひとりで来ている年配女性が多いです。

 

自分もたくさん観るようになって気づいたのですが、

映画館には「あれを観たい」と思って行くだけでなく

「今日○時頃観られる映画には何があるかな」と思って

出かけるのも楽しいものです。

時間の自由になる年齢の人たちは、

一日中映画館を巡りながらいくつも観てまわろう、

そんな構えでこられている方も多い様子。

 

先日、渋谷のある映画館でこんな光景を目にしました。

70歳くらいの上品な女性で、彼女は、

次回上映のポスターを入り口に立てかけていた係の人に、

こんなことを聞いていました。

 

「この映画は、たくさん人が死にますか?」

 

案内の若い男性は、言葉につまって、、

 「いや、あのボク詳しいことはわからないんですけど、

きっと面白いと思いますよ」

と答えていました。

ちなみにその映画はたった今私が別の階で観てきたやつで、

めっちゃたくさん人が死ぬやつでした。

 

「あの、もしもし。

この映画はとてもたくさん人が死にます。

でもグロテスクさを追求したものではなく乾いたタッチなんです。

とても面白かったですよ。」

 

などと言いたいな、と思ったのですが、

件の案内係の彼が

「人が死ぬ映画だとちょっとお好きではないですか?」

と優しく返していて、その後会話が弾んでいったみたいなので、

私はそっとその場を去りました。

 

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(これでした)