サバ缶とボッコちゃん

青魚と短編小説をこよなく愛するコピーライターです。 ブログタイトルは時々変わります。

ひとの気を知りすぎて

 

前回書いた「忖度」と似た言葉に「斟酌」というのがある。

(ひとつ前の記事:ひとの気も知らないで - サバ缶とボッコちゃん

 

【斟酌(しんしゃく)】

(水または飲料などをくみわける意から)①あれこれ照らし合わせて取捨すること

 ②その時の事情や相手の心痛などをうう分に考慮して程よくとりはからうこと。

 手加減すること。③ひかえめにすること。さしひかえること。遠慮。辞退。

 〜広辞苑第五版

 

辞書を引いてみたら、思っていた以上の意味があった。

②程よくとりはからう はわかるとして、

③ひかえめにする。遠慮。辞退。と書いてある。

これは萎縮、に近いのでは。。。

 前回、コピーが炎上した例をあげましたが、

これでお客さんがCMや広告を取り下げることが通例になれば、

企画提案時から「斟酌」がまかり通って

気持ちに届く言葉を作れなくなりそう。

  

結局、他人の気持ちを想像して(ここまでは素敵)

わかった気になって(これは傲慢)、

かつ求められてもいないのに遠慮したりする(やりすぎ)

のは、コミュニケーションをつまらなくすると思う。

 

言われてもいないのにビビること、

ここまで言ったら賛否あるかも、を自主規制すること。

「忖度」は「斟酌」へのイントロになってはいけないねぇ。

だから新聞もテレビも、流行りの「忖度」という言葉は

「斟酌」と区別して正しく使ってほしい。

 

真面目か。。 

 

ひとの気も知らないで

 

最近「忖度」という言葉が流行って(?)る。

 

【忖度(そんたく)】

(「忖」も「度」も、はかる意)他人の心中をおしはかること。推察。

「相手の気持ちを〜する」 〜広辞苑第五版

 

このところは相手の圧を勝手に感じて便宜をはかった、

みたいな文脈で使われているけど、本来の意味は「推察すること」のみ。

先回りしてあれこれするのは「斟酌(しんしゃく)」だよね。

で、「忖度」の意味を正確に知ると、

コピーを作る時に私が大いに行っているのは忖度だなと思った。 

 

「読み手の心の中に入って書く」とか

「言ってほしいと相手が思ってることを言葉にする」とか

「頭が発火するくらいターゲットのことを想像する」など。

これらは先輩から教わったコピーライティングのコツで、

「一旦主観を後退させて他人の心によりそって書くべし」ということだけど、

実践はするものの成果を出すのはなかなか難しい。

 

共感コピーです、といっても

わかった気になっているだけということもちょいちょいで、

ターゲットはうれしくもなんともなく

響かない上にむしろ不快、ということもある。

例に出して申し訳ないのですが、最近だと

化粧品会社の「25歳からはもう女の子じゃない」や

電車マナー広告の「都会の女はみんなキレイだ。でも時々みっともないんだ」とか…

これらのフレーズは軽く炎上していた。

 

誰かを傷つけたのかな…

共感の幅がちょっと狭かったのかな…

なんとか記憶に残そうと語られた言葉なのに、

見た人は何かにひっかかってカチンときた。

その分届いているのだと思うし、

最近は受け取られ方も厳しいなぁと感じるけど、

商品やブランドに代って言葉を発する以上、

受けとられ方には鈍感でいられない。

ひとの気も知らないで、または知ったような気分になって

書いたと受け取られたコピーは、好かれず宙に浮くみたい。

 

だから「忖度」しまくる。

いまこの言葉は「悪いこと」みたいに使われている(ような気がする)けれど、

本来は、未知の他人とうまくコミュニケーションするための

まじめな行為だと思うのです。

 

一方で、

(続く) 

 

書きたいはうれしい

 

文章には、書かねばならないと書きたいがあると思う。

 

書かねばならないの筆頭は、いまなら仕事メールかしら。

「お世話になっております」や「メールありがとうございます」に始まり

ふさわしい内容が誤解なく伝わるように書く。

顔が見えない相手に粗相がないようにと神経を使うから、

時間もかかる上に自分のキャラもちょいちょい偽っていて心苦しい。

 

子供の頃なら読書感想文かしら。

私はこの感想文というやつが苦手で苦手で、

すごく面白かった本でも「感想文に書きなさい」と言われると固まってしまい、

話の筋を追ったようなつまらない文しか書けなかった。

今思えばコツみたいなものをつかんでなかったせいだと思うのだが、

じ〜んと来た時点がクライマックスで、

読み終わってしまうともう思い出したりすることが

面倒だったのだと思う。

 

コピーライターの仕事は受注で、分類からすると

「書かねばならない文章」になるのだけど、

「この事物を世に知らしめたい!」というお客さんの希望を

意気に感じてよっしゃ!と腕まくり、

「この部分をこう伝えたらいかが」と知恵をしぼる作業は

マジでめちゃくちゃ楽しくて、

あれはいかがか?これはどうでしょう?を一日中でもやっていられる。

これはつまり「書かねばらない」を「書きたい」に転換していて、

この転換の部分こそが「提案」になるという。

そう考えるとしあわせな仕事だなあ。

と、今ごろ気づく。

 

「ちゃんと自分の人生がのっかってる言葉は強い」

と言っていたのは誰だったかしら。

 

これはきっとそういうことなんだ。

 

 

チームワークのキラキラ

 

ホメ前提なので名前を出させていただきますが、

輸入食品雑貨の「KALDI」。

その三軒茶屋店がいつ行ってもすばらしい!

何がというと、スタッフが。

品揃えや陳列は他店同様なれどスタッフが全員が店を

楽しそうに!親切に!流れるように!

切り盛りしているだけでなく、

各人が使命感に溢れているというか。

 

行けばほとんど会えるハスキーボイスにメガネの小柄な女性が

リーダーだと(おそらく)思われるのですが、

彼女以下、全員女性のスタッフはいつもハキハキシャキシャキ。

ものを尋ねたら軽く世間話をはさんで教えてくれたり

在庫がなければ代替物を提案してくれたりと

それぞれオリジナルな話し方の接客で

うちの店が大好き!という感じが伝わってくる。

クリアな統率の下に個人のパフォーマンスが自由に発揮されている。

これは最良のチームワークなのではないか!?

買い物しているだけなのに、

そのチームワークのキラキラにこっちもなんか元気が出ちゃう。

クッキーやらチーズやらワインやらを抱えつついつも感心しています。

 

自由がほしくて会社をやめた自分なのに、

こんな「職場」はちょっと羨ましいなぁ。

 

 

なにを書こうかな

 

仕事のアーカイブサイトを作り直すタイミングで

長らく放置していたブログページも新しくすることにしました。

で、ここではどんなことを書こうかな。

好きなことについてじゃないと続かないよなぁ〜というわけで、

読んだ本のことや映画のことなどを中心に、

ふだんふと胸をつかれたことを書き留めていこうと思います。

…普通だ…

大して深いことは書けそうにありませんが、

いくつかやっているSNSでの書き散らかしより少しは面白くできたらいいな。

コラムの練習といったかたちで進めていこうと思います。

 

さて、なにを書こうかな。

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