サバ缶とボッコちゃん

青魚と短編小説をこよなく愛するコピーライターです。 ブログタイトルは時々変わります。

TCCリレーコラムから「インスタントミュージック」

 

8月にTCCのサイトに載せたものから。

2日目。

A.I.についてのモヤモヤを書きました。

 

 

インスタントミュージック

沢辺香

突然ですが、
ChatGPTのせいで仕事が減っちゃった〜という方はいますか?
または楽になった〜という方は?

どんなもんかと思ってわたしもいくつか
架空の商品コピーをアプリに作らせてみたんですが、
質問のしかたが悪かったのかどこかで聞いた言葉の羅列しか出てこず…
「もっともらしいのに記憶に残らない」不思議な文章しか得られませんでした。
*独自性のある印象的なつかみ 
*共感されるわかりやすいボディ  
日ごろ小さい脳ミソを駆使してこれらをひねり出してる身からすると、
集合知を使い放題の養分にして展開するChatGPTには、
「競合と異なって際立つもの」は生みだしづらいのかな?
少なくとも今はまだあまり使えないのではないかと思いました。

ところで、少し前に聴いたラジオで劇作家の本谷有希子氏が
「創作する時に『共感されるものを書こう』ってしてしまったら終わり」
「ついいいねやフォローを求めて発信してしまうけど、それに捕まってはいけないと思う」
と発言されていて、思わず静聴。 さらに彼女は
「共感したいされたいって衝動を”共感おばけ”って呼んでる」 とも言っていて、
・なるべく「いいね」をもらわない
・できるだけ誰にも共感されない事柄を書く
なんて離れワザを目下の野心としているとのこと。
作家はこんなことを思うのか!?と感心して、
到底かなわないなと思いました。

なるほど”共感おばけ”は今の経済社会の一大特徴。
だからコピーライティングは、人からいかに多くの共感を得、
企業や商品をいかに「いいね」と思わせるかに腐心する。
その上で、少しでも世の中を驚かせたい!と望んで
ひたすら技術を磨きつづけるのがコピーライターというもの…健気だと思う…
彼女の言葉から、コピーライターは宿命的に
「共感獲得の使命」を負っている、と今さらに気づかされ、
目ウロコというより、作家と呼ばれる人の発想や解放され度に
嫉妬まで感じたのでした。

とはいえ、共感されたい!好かれたい!メッセージばっかりだと
送り手も受け手も双方バカになっちゃうので、
よいコピーは「ワカル!」と「知らんかった!」の絶妙なハザマを射抜くわけですよね。
そこでわたしは問いたい。

ChatGPTよ、きみにそんな芸当はできるんか〜い。

***

アベレージこそがハッピー? 
インスタントミュージック/ザ・ピロウズ

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